2018年5月24日木曜日

『日本残酷物語』平凡社

これも「講座本」で全5巻と別巻2冊。1960年ごろで、映画の題名より先。
近代合理主義によって失われたものがテーマである。近年に再刊された。
近世史を考えるために10年ほど前に入手。

宮本常一『忘れられた日本人』のなかの「土佐源氏」も再録されていたと思う。そのほか。
分担執筆なので良質でないものは一部は飛ばし読みになるが。
夫婦で一生懸命働いて田畑を購入して増やすことが生き甲斐だった老婆に、戦後の農地解放は理不尽なものであったという話。戦後の農地改革は功罪半々とみるべき。


2018年5月15日火曜日

風土記日本(平凡社)

自分で「講座本」という分類名をつけている本。
平凡社の『風土記日本』は、かなり評判だったシリーズで、最初は1957~58年のハードカバー。1960-61年ごろ軽装版が出され(画像)、それを1990年代に6冊入手して、通読。こういうシリーズものを全て読了したのは他にないかもしれない。

一つ書くとするなら、江戸時代に村の入会地だった山林が、明治新政府に没収された例が多いのは、東日本、とりわけ東北地方であるという。なぜかというと東北地方は「賊軍」とされたからである。西日本では山林は私有地になっていることが多いそうだ。明治以後の「貧しい東北の村」のイメージができてしまったのは、それが原因だという。
そうした日本の山林は、満足な測量もされずに登記もあやふやなのだと、司馬遼太郎の対談集にあった。高速道路の用地買収などはどのようになされたのだろう。

6巻の他に索引の巻があることを知り、1958年版をセットで入手したが、だいぶあとのことなので索引は有効利用していない。

国有林はたしかに東日本に多く偏っている。次は林野庁ページ。
http://www.rinya.maff.go.jp/j/kokuyu_rinya/welcome/bunpu.html

2018年5月14日月曜日

講座日本風俗史(雄山閣)

最近入手の本だが、昭和30年代の「講座」風の本のなかには、良いものがいくつかあり、これもその1つ。
「風俗史」とは今は聞き慣れないかもしれない。今は、衣服などは服飾史、民具は民具史など別々になっているようだが、そのほか衣食住、芸能や娯楽、祭礼や行事、村や町の仕組み、旅風俗や性風俗まで、社会生活全般が対象となるようである。それらが、大きめの図版を大量に掲載し、池田弥三郎、和歌森太郎らによって語られる。
江戸時代のことがより多く語られるのは、明治時代的近代に「失われたもの」がテーマだからであろう。(全12巻、ほか別巻8冊)