2018年1月16日火曜日

宮田登日本を語る〈2〉すくいの神とお富士さん

富士講や浅間信仰については、養蚕地帯の女性たちを主体にしたものであったということ。

行者たちはさまざまなことを書き残しているが、内容は主観的で情緒的な感はいなめないが、それら自体が一種の「おふだ」として信仰対象になったことは間違いないのだろう。女性たちの関りかたについても、すぐれた一個人が現れてその人の主義主張が大衆を感化して広まるといったような、従来型の歴史観は、どうしても作り話的であり、やはり主役は集団であり、集団の行動を哲学的にとらえなおすことが第一歩となるのではないか。そういうことまでこの本に書いてあるわけではぜんぜんないが、女性史にとっては女性たちの民俗と信仰が重要であることには異論はなかろう。

このシリーズは著者の著作集にもれた小編を毎月1冊づつ集成したもので、地方の書店にも並んだ。その後、何年かで本はネット購入が大半となる。
『宮田登日本を語る〈2〉すくいの神とお富士さん』 吉川弘文館 2006年

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