2017年11月19日日曜日

目崎徳衛『紀貫之』……内教坊の阿古久曽

大岡信の『紀貫之』(筑摩書房)を読もうと思ったが、書庫に見つからない。その本のヒントになったという目崎徳衛『紀貫之』(吉川弘文館)を取り寄せて読んだ。
「童名は内教坊の阿古久曽(あこくそ)と号す」、内教坊は宮廷の「女楽・踏歌をつかさどるところ」で、貫之はダンサーたちに育てられたらしい。
「貫之が貴族社会の粋筋に当る教坊の内に生を享け、多くの歌姫・踊子たちから「阿古久曽」「阿古久曽」とマスコットのように可愛がられて育ったと考える方が、後年王朝文化を和風・女性風に転換する立役者となった彼にふさわしいと思う」29p

なるほど。紀氏はもと武人の家系だが、ここに見事に転換できた。
紀貫之の『土佐日記』は女性をかたって書かれたが、女性ではありえない性的表現などがあり、すぐばれると目崎氏はいうが、大塚ひかり『女系図でみる驚きの日本史』によると、平安朝の貴族の女性の日記でそういう表現はあるらしい。
大岡信の本を探したい。