2017年11月23日木曜日

樋口一葉について、一葉忌に

11月23日は、24歳でなくなった樋口一葉の命日。一葉忌である。
数年前に、江戸時代史の延長として、一葉の研究本等をいくつも読んだことがある。印象に残るのは、
1 田中優子『樋口一葉「いやだ!」といふ』(集英社新書)
2 塩田良平『人物叢書 樋口一葉』(吉川弘文館)
3 井上ひさし『頭痛肩こり樋口一葉』(紀伊国屋書店ビデオ)

3は演劇のビデオだが、一葉が「萩の舎」で古典を学び始めたころ、家が貧しいことに劣等感を持っていたといわれるが、他の生徒たちの親は政府の高官だといっても元は足軽風情、という意味のセリフがあった。一葉の父は、元は甲州の農民だが、金を貯めて御家人の株を買って武士になっている。足軽は士分ではない。そのような優越感もあったということを見落とすべきでない。
2には、一葉の父は甲州にいたころ「公事師」の仕事もしていたと書いてあった。他の本では、貧しい農民たちの法律の相談にのっていたなどとしか書かれてなかったが、公事師というのは実は曲者なのである。弱者の味方などではありえない。一葉が世に出てからの話に、怪しい男にいきなり借金を申し込みに行くなどの行動も、その父を思えば、なるほどありうることだと思う。一葉にはそういったきわどい一面もあると思うのだが、しかし一葉の作品は美しいと思う。