2017年12月13日水曜日

『梅原猛著作集 11 水底の歌』

1982年。分厚いページ数のわりには価格は低めだったので、気軽に購入。
万葉歌人の柿本人麻呂についての内容だが、「刑死説」はともかく、
人麻呂を若死にとした斎藤茂吉以後の見方が問題であり、中世以前の人麻呂の肖像がどれも老人として描かれていることを重視すべきというもっともな論のほうが多いのである。

有間皇子の「家にあれば笥に盛る飯を草枕旅にしあれば椎の葉に盛る」は、旅の安全を祈って道中の神に飯を捧げた歌であるとか、大海人皇子と額田王のやりとりの歌「茜さす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る」などは宴席でのやりとりの歌にすぎないとか、そういった解釈は、折口学派の解釈であることを知るのは後のことだが、これまで漠然と眺めていた万葉集を魅力的なものにさせてくれた一冊だった。

この著作集は何冊も読んだのだが、文庫化され古書店で¥100以下で求めたものが揃ったので著作集は処分してしまった。