網野善彦『日本の歴史をよみなおす』(筑摩書房 1991)
この本に書かれてあったことで、すぐに思い出すのは、「市」の成立の話。物が商品として取引されるには、物と所有者との関係が切り離されなければならず、それを可能としたのが市である。市は村外れなどの境界と呼ぶにふさわしい場所で成立し、異界からのある力がはたらいて、物と人は無縁のものとなる。市をつかさどる女は巫女でもあったとか、同様の場所では、歌垣も行なわれ、男女の関係もフリーとなるのだとか。
歴史というのは、戦さで誰が勝ったとか、巨大建造物は誰が作ったとか、そんなことがどれだけ重要なのだろうかと思えてくる。
戦後の日本では、公共の土木工事などが盛んで、付随して多くの遺跡などが発掘された。
発掘というと古墳時代以前のものが注目されやすいが、中世のものも多く、新発見の史料により、これまでの歴史記述の見直しがされることも増えた。1986年から刊行された週刊朝日百科日本の歴史などもその一つなのだろう。1990年代は「読みなおし」の時代でもあった。
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