1989年に、ちくま文庫版の『柳田國男全集』(筑摩書房)の刊行が開始された。
既に角川文庫などで柳田の主要な著作は目にしていたが、第5巻の「山島民譚集」は、初期の論考ということもあり、未整理だが名もない神々についての多岐に渡る内容は多くの示唆に富むものだった。
その3~4年前に、ある知人が「『定本 柳田國男集』が文庫化されれば良いのだが」と言うのだが、「折口信夫全集のように縮刷版で」と言うので、「あれは菊判だから縮小したら読めない。柳田のものは新字新仮名に組み直すのが良い」と答えた。知人は実物の柳田国男集をよく見てなかったのだろう。実際に文庫版が出たとき、その会話を思い出したものだった。『定本 柳田國男集』はまさに定本だったせいか「柳田國男」と本字で書く人が多かったが、一人だけの扱いは奇妙であり「国男」でも問題ないのではないか。
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